CROSS MALL(クロスモール)は、対応一覧に掲載されたECモール・ECカートを対象に在庫連携できます。ただし、在庫連携に対応していても、商品登録や受注管理まで同じ範囲で使えるとは限りません。
導入前には、利用中チャネルの機能範囲、注文後の反映時間、少量在庫の公開方法、商品コードやセット品の管理方法、物流サービス・WMSとのデータ連携を分けて確認しましょう。
CROSS MALL(クロスモール)で在庫連携できるチャネルと機能範囲
対応可否は、チャネル名だけでなく「在庫管理」「商品登録」「受注管理」の3機能に分けて確認します。利用中のECモールやカートが一覧に掲載されていても、必要な機能がすべて使えるとは限らないためです。
在庫・商品登録・受注管理は別々に確認する
対応一覧の代表例を、機能別に整理すると次のとおりです。
| チャネルの例 | 在庫管理 | 商品登録 | 受注管理 | 確認のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 楽天市場、Yahoo!ショッピング、au PAY マーケット、メルカリShops | ○ | ○ | ○ | 3機能に対応する例 |
| futureshop、ショップサーブ、makeshop、メルカート、アラジンEC | ○ | ○ | ○ | 自社ECカートの3機能対応例 |
| Shopify、BASE、ecforce | ○ | — | ○ | 在庫・受注は対応するが、商品登録は対象外 |
| Qoo10、TikTok Shop、eBay、Qoo10.com | ○ | — | ○ | 商品登録は別途行う構成 |
| AnyGift、たまごリピート | — | — | ○ | 受注管理が対象で、在庫連携は対象外 |
| EC-CUBE | 条件付き | 条件付き | 条件付き | 個別調査が必要 |
たとえばShopify、BASE、ecforceでは、CROSS MALLで在庫と受注をまとめられても、商品ページの登録まで一元化できるとは限りません。商品登録もCROSS MALLで行いたい場合は、対応表の「商品登録」欄まで確認してください。
越境ECでは、eBay、Qoo10.com、ZenPlusが在庫管理・受注管理の対象として掲載されていますが、商品登録は対象外です。ファッション系では、SHOPLISTや&mallが在庫・商品登録・受注管理の3機能に対応する例として掲載されています。
ZOZOTOWNは、取り寄せ商品との在庫連携が可能とされています。通常商品の在庫連携や商品登録、受注管理まで利用できると一律に判断せず、自社の販売形態が取り寄せ商品に該当するかを確認しましょう。
詳しくは、CROSS MALLの公式対応モール・カート一覧で利用中のチャネルを確認してください。

条件付きの連携先で確認すること
Amazonは、在庫管理と受注管理に対応し、商品登録は条件付きです。商品登録の対象は、Amazonの商品カタログに登録済みの商品データです。CROSS MALLから新しいAmazonカタログを作成できるという意味ではないため、既存商品の管理と新規出品を分けて考えます。
Facebook/Instagramショップ機能は、在庫管理・商品登録の対象として掲載されています。ただし、購入と決済は自社ECカート側で行う条件です。SNS上で決済まで完結する運用を想定している場合は、購入後の注文データがどこで管理されるかも確認してください。
BtoC向けのShopifyと、ShopifyのBtoB利用も同じ条件ではありません。BtoBカートを使う場合は、次の追加条件があります。
- Bカート:別途連携アプリの利用と、別途費用が必要
- Shopify(BtoB):株式会社アイルが提供するBtoBアプリの利用が必要
一覧外の自社カート・EC-CUBE・BtoBカートの場合
一覧にない自社サイトやECカートは、「順次対応中」「個別対応も可能」と案内されています。ただし、これはすべての一覧外カートで連携が確定しているという意味ではありません。導入前に、少なくとも次の項目を確認します。
- 在庫・商品・受注のどの機能を連携できるか
- API、CSVなど接続方式は何か
- 商品コードやSKUをどの項目で紐付けるか
- 在庫の更新元と更新頻度はどうなるか
- 個別設定や追加開発、別途費用が発生するか
EC-CUBEは、在庫管理・商品登録・受注管理のいずれも個別調査が必要とされています。利用中のバージョンやカスタマイズ状況によって確認結果が変わるため、バージョンと自社環境で必要な機能を伝えて確認してください。なお、3系では出品機能を利用できないとされています。
同期遅延を前提に、公開在庫を設計する
在庫連携は、1つのサイトで注文が入った瞬間に全サイトの表示が完全に切り替わる仕組みとは限りません。CROSS MALLでは注文後の反映に時間差があるため、同期機能と、各サイトに公開する数量の設計を分けて考えます。
注文後の在庫反映は平均5〜10分が目安
公式説明では、注文が入ってから各ECサイトの在庫が更新されるまで、平均5〜10分のタイムラグがあるとされています。実際の反映は、各モールが在庫データを受信して反映する状況にも左右されます。
そのため、在庫連携に対応していても、売り越しが必ずなくなるとは考えないことが重要です。残り1〜数個の商品や短時間に注文が集中する商品では、反映時間内に複数サイトの注文が重なる可能性があります。

少量・高回転商品の売り越しを抑える在庫配分
商品ごとに、各サイトへの在庫配分パターンを設定できます。全サイトに同じ在庫数を表示するのではなく、商品の売れ行きや残在庫に応じて、販売先ごとの公開数を変える方法です。
十分な在庫がある定番商品は複数サイトに広く公開し、残数が少ない限定商品は一部のサイトにだけ公開するなど、商品特性に応じて方針を分けます。これは同期の時間差をなくす機能ではなく、時間差がある間に注文が重なるリスクを抑えるための設計です。
配分パターンは商品登録画面から商品に紐付けられるほか、CSVで一括設定できます。任意の個数以上の場合にサイトごとの指定比率で振り分ける設定や、複数の配分パターンも案内されています。
在庫の登録方法と公開在庫の管理
CROSS MALLへどの方法で在庫を登録するかだけでなく、倉庫などにある実際の数量と、ECサイトで販売可能として表示する数量を区別して考えます。
在庫の登録・更新方法は次の3つです。
- CSVによる一括登録
- 画面からの手入力
- 在庫更新用API
CSVでは、既存の在庫を置き換える「上書き」と、数量を増減させる更新方法を選択できます。基幹システムや倉庫システムを在庫マスターにする場合は、どのシステムから、どのタイミングで、どの方式でCROSS MALLへ渡すかを決めておきます。
実在庫とは、棚卸や倉庫管理で把握している実際の数量です。一方、論理在庫は、ECサイト上で販売可能として設定する数量を指します。通常の在庫商品では両者を近づけて運用しますが、受注生産品のように実在庫がなくても、生産能力に応じて販売数を設定する場合は一致しないことがあります。
実店舗・卸・返品交換分を残す確保在庫
実店舗や卸売と在庫を共有している場合、登録在庫の全量をECに公開すると、店頭販売や卸注文に必要な在庫まで売れてしまう可能性があります。返品・交換用の在庫を残したい場合も同様です。
CROSS MALLでは、登録在庫から確保在庫を差し引いた数量をECサイトへ反映できます。実店舗用・卸用・返品交換用として一定数を残し、残りをECの公開在庫にする運用です。確保在庫数はCSVで一括設定・編集できます。
また、在庫がゼロの商品や発注点を下回った商品は一覧で確認でき、選択したデータをCSV出力できます。色・サイズなどの商品属性ごとの確認も案内されていますが、属性別に扱うには商品データの持ち方を整えておく必要があります。

商品コードとセット品を連携する条件
店舗ごとに異なる商品コードを使っていたり、同じ商品を単品とセット品の両方で販売していたりする場合は、コードや商品構成を先に整理する必要があります。
店舗ごとに異なる商品コードを維持する
親商品コードを設定し、各店舗の商品コードを紐付けることで、店舗ごとのコードを維持したまま同一商品の在庫を連携できます。
委託倉庫への出荷指示は、親商品コードで統一して出せる案内があります。ただし、EC側の店舗コード、CROSS MALLの親コード、倉庫側の管理コードがどのように対応するかは、実際の出荷データで確認してください。在庫連携では正しくても、出荷指示では別のコードが必要になる場合があります。

単品とセット品の在庫を相互に更新する
セットの構成をあらかじめ登録すると、セット商品の販売時に構成単品の在庫を減らし、構成単品が販売されたときにはセット商品の販売可能数も更新できます。同一サイト内だけでなく、複数サイトをまたいだ在庫更新も対象です。
単品用とセット用で別々の在庫を持たず、共通する構成品を基準に販売可能数を管理できる点が特徴です。ただし、構成商品、必要数量、色・サイズなどのSKU対応を正しく登録しておくことが前提です。
セット品の販売可能数は構成SKUと必要数で決まる
セット商品の販売可能数は、各構成商品の在庫を「1セットに必要な数量」で割り、その中で最も少ない数に制約されます。
たとえば、1セットに商品Aを2個、商品Bを3個使い、商品Aの在庫が10個、商品Bの在庫が100個ある場合、商品Aで作れるセット数は5セット、商品Bで作れるセット数は約33セットです。したがって、販売可能なセット数は少ない方の5セットになります。
色・サイズなどの商品属性(SKU)単位で、セット品と構成商品の設定、構成数量の登録が可能です。「1個セット」と「5個セット」のように、同じ構成品を異なる数量で販売する場合も、必要数を分けて登録します。確保在庫やサイト別配分を併用した場合の優先関係は、導入前に確認が必要です。

物流サービス・WMSを使う場合の連携確認項目
倉庫へ出荷を委託している場合は、物流サービスやWMSの名前が対応一覧にあるかだけでは判断できません。在庫の更新元、出荷指示の受け渡し、出荷実績の戻し方まで確認し、CROSS MALLと倉庫の役割分担を決めます。
掲載された物流サービス・WMSを確認する
対応一覧には、次のような物流サービスやWMSが掲載されています。
- 物流サービス:楽天スーパーロジスティクス、FBAマルチチャネル、イー・ロジット、関通、スクロール360、はぴロジ、ロジモプロ、SmartShipなど
- WMS:ロジザードZERO、ロジクラ、クラウドトーマス、Air Logi、ゼータロジ、W3 mimosaなど
掲載されていることは接続先の案内であり、在庫・受注・出荷実績のすべてが双方向に同期することや、利用中のバージョン、追加費用まで保証するものではありません。サービス名を確認したら、連携するデータ範囲と条件を個別に確認します。
出荷指示データと一覧外WMSで確認すること
WMS連携では、荷主ごとにCROSS MALLとWMSの連携項目をすり合わせ、出荷指示CSVをカスタマイズできると案内されています。また、連携用APIによる自動連携も案内されています。
一覧外のWMSや独自開発の倉庫システムを利用する場合は、次の項目を確認してください。
- APIとCSVのどちらで接続するか
- 在庫、受注、出荷指示、出荷実績のどのデータを連携するか
- それぞれのデータをどちらのシステムからどちらへ渡すか
- 商品コード、親商品コード、SKUをどう対応付けるか
- 更新頻度と、連携失敗時の再処理方法
- CSVの項目、並び順、文字コード、数量の扱い
- 個別開発費、追加アプリ費用、設定作業の担当者
CROSS MALLで在庫を一元管理するのか、WMSを在庫の更新元にするのかで、連携設計は変わります。通常の注文だけでなく、キャンセル、返品、出荷完了など例外時のデータの流れも確認しておくと、導入後の不整合を抑えやすくなります。
まとめ
CROSS MALLは、対応一覧に掲載されたECモール・ECカートで在庫連携を利用できます。ただし、在庫・商品登録・受注管理の対応範囲はチャネルごとに異なるため、3機能を分けて確認することが重要です。
導入前は、次の順で確認しましょう。
- 利用中のモール・カートで、在庫・商品登録・受注管理のどこまで対応するか確認する
- Amazon、ZOZOTOWN、SNSショップ、EC-CUBE、BtoBカートの条件を確認する
- 平均5〜10分の反映時間を前提に、少量商品向けの在庫配分と確保在庫を設計する
- 実在庫とEC公開在庫の更新元、更新方式を決める
- 店舗別商品コード、親商品コード、セット構成SKUを整理する
- 物流サービス・WMSについて、在庫・出荷指示・出荷実績の連携範囲とAPI/CSV方式を確認する
「在庫連携できるか」だけでなく、自社の販売チャネルと在庫運用をどの程度の変更で接続できるかまで確認することが、導入後の売り越しやデータ不整合を抑えるポイントです。


