今回は楽天市場へこれから出店するにあたり、出店後に赤字にならないための注意点を解説します。予想外にかかる固定費から、価格の値下げ、必要な販促など、楽天市場の出店ガイドブックを読むだけでは分からない情報に絞り、リアルな状況をお伝えします。この記事を読んで、赤字にならない、黒字を達成できる出店計画を立てましょう!
楽天市場を赤字で退店するショップは多い?
楽天市場には約4万8千のネットショップが出店しています。(※2019年9月20日現在)基本プランは1年契約となりますが、更新せずに退店してしまうネットショップはどれ位いるのでしょうか?
公式な情報ではありませんが、実際にお付き合いのあるネットショップを見ていると出店1年目のショップが次の年に更新せずに退店する割合は約30%、全体では約10%が更新せずに退店されている感覚です。
もちろん様々な理由・原因で退店に至ると思いますが、一番の理由はやはり「赤字」でしょう。楽天市場は日本最大級のECモールだからと言って出店すれば売れる、黒字を出せるわけではありません。その分競争は激しく、競争力がないネットショップは赤字になりやすい環境だと心得ましょう。
なぜ楽天市場への出店後に赤字になるのか・・・?
主に3つの理由があります。
- 必要な固定費を考慮していなかった
- 販売価格を甘く見ていた
- 短期的なスパンで考えていた
1つずつ解説します。
必要な固定費を考慮していなかった
楽天市場に出店するために最低限必要な固定費は以下の通りと説明されています。
- 初期登録費用:60,000円(出店時初回のみ)
- 月額出店料:19,500円〜100,000円
- R-Messe:3,000円〜5,000円
しかし、実際には下記の固定費がかかってくるものとお考え下さい。月商数十万円の小規模運営でない限りは、運営効率化のために必要となります。こちらの固定費を除きたい場合でも、機能・ツールが利用できない分、その費用以上の人件費が発生するとお考え下さい。
RMS商品一括編集機能:10,000円
商品情報(商品名、価格、販売期間や在庫情報など)をCSVファイルを利用して効率良く、一括編集する際に必要となる費用です。楽天市場ではセール企画等に合わせて、適時変更を行うことが重要です。個別編集をしていては手間がかかりすぎます。この機能を利用して効率よく運営しましょう。
受注管理システム:目安10,000円〜(システム、売上により変動)
RMS(楽天市場の標準システム)だけでは、残念ながら効率的な受注業務は難しいです。2万ショップ以上が利用中のネクストエンジンや、楽天グループ開発のRobot-inなどの利用を前提に考えましょう。楽天市場以外のネットショップも運営している場合、複数ショプの在庫連携の役割も果たします。
メール共有・管理システム:目安5,000円〜
受注業務にあたるスタッフが複数名いる場合には、メール共有・管理システムを導入しましょう。楽天市場からの連絡メールや、ユーザーからの問い合わせに対して、対応状況を効率よく共有・管理できるようになります。利用しない場合、ミスやクレームが起き易くなってしまいます。多くの機能を備えてたメールディーラーや、最低限の機能で低価格なメールワイズが人気です。
その他にも、ショップによっては領収書の自動発行システム(目安3,000円〜)や、ページ・画像制作ツール(目安3,000円〜)などが毎月固定で必要となります。
自社ネットショップの場合には実際いくらの固定費が必要なのか?運営形態により、また選択するシステムによっても異なってきますので、しっかりと検討した上で固定費を見積もりましょう。ご自身での検討が難しい方には、無料で相談も承っています。「コンタクトフォーム」よりお気軽にお問い合わせください。
販売価格を甘く見ていた
楽天市場でユーザーから商品を選んでもらうには、販売価格はいくらにするべきでしょうか?目安価格の調べ方をお伝えします。まずは売れ筋商品を確認しましょう。
正確には、商品ジャンルや、型番かオリジナルか、LPページが作り込まれているかどうかによっても異なってきます。一般論として理解いただいた上で、貴社ショップの状況に合わせて展開ください。個別事例のご相談も承っています。「コンタクトフォーム」よりお気軽にご連絡ください。
1つ目の方法は「楽天ランキング」
販売商品の該当するジャンルを確認しましょう。その際、なるべく下層まで下ります。例えば、「テーブル」ランキングではなく「テーブル>ダイニングテーブル」ランキングを見ましょう。当然ですが下層の方が競合商品が少なく、ランキングに入りやすくなります。
出店1年目から大きなジャンルでランクインを目指すことはハードルが高いので、まずは下層から攻めていきましょう。次に、期間は「週間」を選びましょう。「デイリー」では一時的なセール、値引きをしている商品がランクインするケースが多く、参考価格としては安すぎる可能性があります。
最後に、ランキングページだけでなく、実際の商品ページも確認しましょう。ランキングページでは商品名と価格しか分かりません。実際のページを見ると、ポイント還元率が高かったり、お得なクーポンを配布している可能性があります。
2つ目の方法は「商品検索結果」
当然ですが、売れている商品が上位に表示されやすい傾向にあります。PCページでは上位3枠、スマートフォンページでは上位5枠は広告商品となりますので、除外して下さい。商品名の冒頭に「PR」と書かれた商品は広告に該当します。
売れ筋商品よりも”安く”する
まずはこれらの方法で、売れ筋商品、価格帯の相場が理解できると思います。ここからが重要です。これから出店するネットショップは、同じ価格帯で売っても売れません。なぜなら、ユーザーからすると「初めてみるショップ」で、「商品レビューもない」状態ですので、信頼できる商品、ショップとは思えず、購入に踏み切りにくいからです。ですから基本的にはより「安く」売る必要があります。
さらに、販売実績が乏しい商品は(価格的に優位であっても)楽天市場の検索アルゴリズム上、不利で、アクセスを集めにくい状況にあります。広告が必要とお考え下さい。商品タイプ(型番か否か、ジャンル、価格帯)によっても異なりますが、最低でも売上の10%程度は広告費として必要と考えておくべきでしょう。
短期的なスパンで考えていた
最後に事業計画スパンについて言及します。ここまでの解説を簡単にまとめると、
- 月々の固定費は予想以上にかかる
- 販売価格は楽天の売れ筋よりも下げる必要があり利益率は下がる
- 広告費が売上の約10%は必要であり利益率は下がる
ということを解説してきました。ここまでで既に赤字になりそうな予感がしているネットショップは多いのではないでしょうか。そうなんですね、短期的なスパンで考えると「赤字になってしまう可能性は高い」とお考え下さい。周りのネットショップをみていても出店から半年〜1年程度は赤字のケースが多いです。
しかし中長期的に事業計画を立てることできると状況は変わってきます。状況がどう変化していくかと言うと、
- 月商が高くなるにつれて、月々の固定費比率は下がっていく
- 商品が売れる、実績が上がるにつれて、販売価格をあげることができ、利益率は改善していく
- 商品が売れる、実績が上がるにつれて、検索上位に表示され易くなり、広告費比率を下げることができる
と好循環を目指せます。実際にはネットショップ毎に異なる売上の作り方があり、ここまでシンプルな展開にはなりませんが、短期的なスパンで無理をすることなく、中長期的な戦略が必要とされることが重要ということです。
まとめ
楽天市場に出店してすぐのタイミングでは、赤字になる可能性が高いです。だからといって直ぐに諦めてしまい退店を考えるのは待って下さい。これからもEC化は一段と進みます。物販に携わっていながら、ネットショップを運営しないという選択肢はありえません。今回お伝えした3つの理由をしっかりと理解して、中長期的に固定費率を抑え、原価率、販促費の改善を積み重ねていくことで黒字を目指しましょう。